こんにちは。ひろりんです。
一週間があっという間に過ぎていきます。やらないといけないことが満載!
さて、本日は、
歴史ある作品でありながら実は観たことがなかった、
ミュージカル「屋根の上のヴァイオリン弾き」についてお届けします。
まずは開場前に博多座のビジョンを撮影。

「屋根の上のヴァイオリン弾き」とは
ミュージカル「屋根の上のヴァイオリン弾き」は、
ユダヤ人コミュニティの伝統と変化の狭間で生きる家族の姿を描いた作品です。
基本情報
原作:ショーレム・アレイヘムの短編小説集「牛乳屋テヴィエ」
脚本:ジョセフ・スタイン
初演:1964年、ブロードウェイ
あらすじ
舞台は1905年、帝政ロシアのウクライナにある架空の町「アナテフカ」。
主人公のテヴィエは貧しい牛乳屋で、敬虔なユダヤ教徒として5人の娘たちと暮らしている。
物語は、彼が娘たちの結婚を通じて、伝統(しきたり)と時代の変化、宗教的な信念と娘の幸福の間で揺れ動く。
長女から三女のそれぞれが、しきたり(父親が結婚相手を決める)ではなく、自分たちの愛を選び、結婚しようとし、テヴィエは伝統と宗教的信念からどうすべきかと葛藤しながらも、娘たちを受け入れてく。
そんな親子の心情を描くとともに、一方ではロシア国内のユダヤ人迫害が激化していき、、、。
演出の特徴
タイトルは「屋根の上のヴァイオリン弾き」ですが、
主人公のテヴィエはヴァイオリン弾きではなく牛乳屋です。
ヴァイオリン弾きの役の人は出てくるのですが、実在する村人ではなく、
ユダヤの人たちの不安定な生活を表す「象徴」として現れ、
喜びや悲しみや様々な感情を、演奏や表情で表現しながらテヴィエに寄り添っている、
「妖精」のような存在です。
代表曲
「サンライズ・サンセット」(長女の結婚のシーンで歌われます)
♪陽は昇り、また沈み、時うつる
やがて朝がくれば 花もすぐひらく♪
感想など
長年愛されてきた作品ですが、実は、劇場で観るのは今回が初めてでした。
主演のテヴィエが市村正親さん、妻ゴールデ役が鳳蘭さん、ということで、
客層は年齢層高めで、親子やご夫婦で観劇されている方が多い印象でした。
市村さん演じるテヴィエが、たびたび神様に愚痴るシーンなどコミカルな演技も多く、
そのたびに客席からの笑いが漏れ、親子愛や夫婦愛に涙する、という、
昔懐かしいファミリードラマのような温かい雰囲気の作品です。
(内容は温かいだけではないですが)
お芝居と共に美しい音楽を楽しむ、という、どちらかというと歌よりもお芝居がメインとなるミュージカルだと思います。
ド迫力でバーン!と歌いあげる!みたいな曲はありませんが、
観終わった後もずっと静かに音楽が流れ続けている感覚を覚えました。
そして、ウクライナとロシア、という、
いま現実に起こっている事も頭に浮かんでしまう内容で、
「ユダヤの人たちを迫害したのってドイツじゃないの?なんでロシアなの?」と
客席で話していた方もいらっしゃいましたが、
長い歴史の中で、色んな時代でいろんな場所で、住む場所を追われ、
それでもユダヤ人であることを保ちつつ、
まさに不安定な中でバランスをとりながら、命をつないでいる民族なのだな、と改めて考えさせられます。
こういう作品だからこそ、お子さんと観るのもいいのかもしれないな、と思いました。
家族愛のお話だけでなく、そこに描かれている歴史や宗教の問題なども、
観劇した時には理解が出来なくても、大きくなった後に、あれはそういうことだったか、と
思い返してもらえるような作品だと思います。
1幕の終わりも、2幕の終わりも、静かに終わる、というのも逆に新鮮でした。
個人的には、
ロシア人青年のフョートカ役の神田恭兵さんのロングトーンに
「おぉ!!いいぞ!もっとやれ!」とテンションが上がり、
三女のチャヴァ役の大森未来衣さんの発声が良くて、
「お!?この方の声はよく響くな!」と感心し、(家に帰ってお名前を検索し、YouTubeも観てきました。今後の活躍に注目です。)
そして次女ホーデル役の唯月ふうかさんが旅立つシーンでは、シベリアに向かうと言う言葉に、二宮和也さん主演映画の「ラーゲリより愛を込めて」の事も思い出して、勝手にその後の苦労を妄想して涙し、
肉屋ラザール役の今井清隆さんの美声に「低音万歳!」と喜び
(レミゼでも、毎回、司教様の低音に密かに喜んでいるのは、自分がソプラノだから無いものにあこがれる心情でしょうか?)、
モーテル役の上口耕平さんがカーテンコールで私に向かってめっちゃ笑顔で手を振ってくれたので、「あらー草食系男子可愛いわー」ってなりました。(チョロいなw)
それと、帽子にボトルを乗せてダンサーたちが踊るシーンがあるのですが、
「きっと帽子に何か細工があるんやろうなぁ」なんて思いながら観てましたら、実はそうではなく、
本当に普通に帽子にボトルを載せただけで、それを全員が落とすことなく踊っているらしいです。
プロの体幹ってすごいですね!もっと拍手すればよかった!
ボトルダンスはこちらで少し見ることができます。(1分過ぎあたりから)
今回は舞台が近すぎるほどの良席に恵まれまして、
俳優さん達をすぐ近くで観ることができましたので、
お酒を飲むシーンで、実際に何か茶色の液体を飲んでるんだなーとか、
牛乳屋さんの大きなミルク缶には、
ミルク(らしき液体)がほんとに入ってるんだなー、とか観られましたし、
暗転の中でセットを移動させている役者さんたちの動きや、
セリフの無いシーンでマイクには乗らない会話が続けられているところなんかも
しっかり観察できて楽しかったです。
役者さんたちの声も、肉声で届いてる感覚でした。
ただ、近すぎて、下手に立ってる俳優さんと上手に立ってる俳優さん、
両方観たくてきょろきょろする場面もありでしたが←贅沢
離れたところから舞台全体を見渡しながら観るのもいいが、
こうして至近距離で観る良さもあるな!
(まぁ、そんな良い席は、なかなか取れないんですけどね、、)
カーテンコールでは、客席から「ありがとう!」と声を上げた方に、
市村さんが直接「こちらこそ!!」と返事をしていらっしゃいましたし、
3度目?のカーテンコールでは、全キャストが前列であいさつできるように、
途中で後列の方々と交代してあげたりしていて、
市村さん始め、皆様が温かい笑顔で、ファミリー感あふれる雰囲気でしたよ。
派手な演出はなくても、お芝居と美しい音楽を落ち着いて楽しめる、
これぞ幅広い年齢層の方に楽しんでもらえる、長く愛される作品だな、と思えました。
以上、今回は「屋根の上のヴァイオリン弾き」をお届けしました!
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