ミュージカル

ミュージカル「ある男」 ~与えられた枠を飛び出し 生きることを 考えさせられる物語~

こんにちは。ひろりんです!

ライブレポの途中ですが、2025年9月7日、福岡市民ホールでミュージカル「ある男」を観劇してきましたので、その感想などをお届けしたいと思います。

ミュージカル「ある男」

原作は、読売文学賞を受賞した平野啓一郎氏の同名小説。個人の存在を巡る根源的な問いと、ミステリー要素が絡み合う物語で、映画化もされました。

ミュージカル版は、ブロードウェイ出身の作曲家ジェイソン・ハウランドによる音楽、瀬戸山美咲による脚本・演出、高橋知伽江による歌詞で構成されており、「ミステリーでありながら、人間の心の奥底を見つめるヒューマンドラマ」となっています。

あらすじ

主人公城戸章良(浦井健治)は、在日3世として生まれたが帰化し日本人弁護士として働いている。

宮崎に住む里枝(ソニン)は、谷口大祐と再婚し子供をもうけ幸せに暮らしていたが、事故でその夫を失う。

大祐の兄 恭一郎(上原理生)が里枝のもとを訪れ、亡くなった弟に線香を上げようとするが、そこに飾られていた遺影は、弟とは似ても似つかぬ別人だった。

亡くなった男「X」は一体だれなのか。その正体を突き止めるため、城戸は調査を進めるが、「X」の人生を追ううちに、自分の存在や価値観を深く考え、揺らぎを感じ始める。「X」の求めた人生は何だったのか、人としての幸せとは何なのか、、。



キャスト

城戸章良(浦井健治):冷静な弁護士。理性と感情の狭間に揺れる主人公

ある男X(小池徹平):谷口大祐として偽りの人生を送ったミステリアスな存在

谷口里枝(ソニン):夫を亡くした未亡人。夫が話した人生が別人のものと知り衝撃を受ける

谷口恭一郎(上原理生):谷口大祐の兄

後藤美涼(濱田めぐみ):谷口大祐の元恋人、城戸の調査に協力する

城戸香織(知念里奈): 城戸章良の妻。家庭を顧みない夫に傷ついている

小見浦憲男(鹿賀丈史):ある男Xの秘密を知る裏社会に生きる男

谷口大祐(上川一哉):本来の谷口大祐

公式サイトはコチラです

感想など

新作オリジナルミュージカルである「ある男」、私が観劇を決めたのは、何と言ってもその豪華なキャストの顔ぶれでした。

実は小説も読んでなければ、映画も見てない、という状態でしたが、そうそうたるキャスト陣の名前を見て、「豪華!これは行くっしょ!」と観劇を決めました。(スプリームのミュージカル好きメンバー達もそれぞれにチケットを購入して、現地集合。昼の公演しかなかったので、この日のスプリームの練習はお休みとさせてもらいました)

劇場で会ったメンバーに「話がややこしいから映画を見といた方が良いよって言われたから、慌てて見たわー」と言われて、「え!まじか!やば!私なんも見てないわw」と、開演の15分前くらいに慌ててスマホであらすじを検索、ある程度のキャラクターの関係性だけ頭に叩き込んで、開演時間を待ちました。(初めてみる作品について、下調べはしないタイプです)

原作本はこちら

舞台演出について

「ある男」舞台セットは、シンプルな木枠や階段がいくつかと、木の椅子が置いてある感じでした。

場内アナウンスが「上演中の撮影は禁止」と言っていたため、舞台セットの写真を撮っている人が結構いました。(日頃、博多座で「劇場内は一切撮影禁止」と言われ続けているため、私はその舞台セットの写真を撮る勇気は無かった)

そして上演中は、舞台セットの大きな転換はなく、プリンシパル以外のアンサンブルの方々が、ずっと「抽象的な存在」になったり街を歩く人々になったりと、さまざまな役割に切り替わりつつ、舞台上で静と動を動きで表現しながら、動きの中で舞台セットを動かして、新しい場面に展開していく、という感じでした。

音もたてずに、スローな振付に合わせて、めっちゃゆっくり椅子を倒したり、踊りながらテーブルやデスクや椅子に座ったキャストを移動させたり、大変そうです。特に常に黒子っぽい役割でありながらウネウネ動いてるお二人、体幹すご!でした。

最初はアンサンブルの方々が木枠のようなものを組み合わせてフレームを作り、フレームに囲まれた城戸が自分の人生を歌う、という演出で、「あ、このフレームに囲まれている時は、肖像画のフレームのように、他人から見える自分、絵に描いたような人生を送っている自分で、動いて外に出ると、他人から見た自分とは違う、自分の内面、みたいな感じ?」と理解。

Xが描いた絵を見るシーンでは、舞台の背景にあるフレームに絵が映し出され、アルバムを眺めているところでは、そのフレームに家族写真が映し出され、という感じで、フレームがポイントとなっている舞台装置でした。

キャストの歌について

歌に関しては、もうそれぞれが主役級の方々ですから、文句なく、全員上手い!です。

主役の城戸章良が一番、感情がよく分からん、っていう人だったので、浦井さん的には難しい役だったんじゃなかろうか、と思いました。あんまり笑ったりしないし。

そして、冷静な弁護士の割に、スーツがユルユルやないかい、ってのがちょっと気になったし、家庭人としてはだいぶダメダメな人で、「家族の予定はちゃんとスマホに登録しておきなさい!」とイラっとして、きれいな奥さん(知念里奈さん)お気の毒だった。

小池徹平さんは、「Xとはこういう人生だったのでは?」と城戸が想像するシーンで、色んなキャラを演じ分けていたところがさすが!

鹿賀さんは登場シーンが「ミスサイゴンのエンジニアかw」っていう雰囲気で、拍手がおきていたし、

上原理生さんが何かを叫ぶたびに「逃げて!バルジャン!」って言いたくなるし(どうしてもレミゼが脳内に浮かんでしまう)、振り向きざまに指をさすポーズがかっこよすぎて、性格は悪い兄だけど、声も姿も良すぎて憎めないし、

濱田めぐみさんは、いつもながらにセリフも歌も聞き取りやすくて、素晴らしかった!

そしてソニンさんの泣きの演技に、今回も泣かされました。(通称ソニン泣き←私しか言ってない気はするが)

劇場で見るソニン様は本当に素晴らしいです。

(こちらはホールに展示してあったソニン様)

っていうか、女性陣のお顔をオペラグラスでガン見しながら、「全員お肌すべすべやー、キレイだわーー年取らないわーー女優すごいわー」と感心しました笑

曲も紹介しておきましょう。

こちらは香織と里枝が歌う「あなたが見えない」。別々の場所にいる二人がそれぞれの思いを歌う、という、ミスサイゴンの「I Still Believe」形式の曲です。

【8月17日まで東京公演上演中】劇中曲「♪あなたが見えない」/ミュージカル『ある男』舞台映像より(2025)

そしてこちらは、城戸とXが歌う「暗闇の中へ」。男性二人が歌う闇、ついエリザベートの「闇が広がる」を思い出してしまいますね笑

【♪暗闇の中へ/浦井健治、小池徹平】レコーディング風景/ミュージカル『ある男』より劇中歌歌唱

全体の感想

話の内容も衣装も舞台セットも、色合いも派手なものではないので、派手なセットバーン!コスプレバーン!大勢でダンスシーンバーン!みたいな作品が好きな人には、向かないのかもしれませんが、私は歌とお芝居とで十分に楽しめました。

自分が生まれた環境や親は自分では選べないけれど、その後の人生をどう生きるのか、外側から与えられた、勝手にカテゴライズされた、その「自分を囲む枠」から、どうやって”自分の意志”で飛び出して、自分の求める人生を生きるのかを考えさせられる作品でした。

映画のほうがより詳しく描かれているということなので、映画版も見てみようと思っています。



以上、本日はミュージカル「ある男」についてお届けしました。

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